試しにこちらにも投稿してみるてすと。
続きに入れてある中身はフェイトそんssなんで本文ネタバレ注意です。タイトルはサントラから。
でも台詞はたぶんミスってます。BD出たら手直しします。
瞬間記憶能力が切実に欲しい今日この頃。
なのは2nd A's観てきました。既に三回ほど。どんなにこらえてもやっぱり泣きました。
TVのA'sから観た駄犬としては予想と期待を軽々と超えていってくれる素敵な作品で……。
あれからなのはやが熱いです。
あでもナハトお目覚めのときのフェイトが叫ぶ「はやて!」の声が初回から特に好きだわぁ……。
三人娘はトライアングルでいちゃいちゃしてればいいよもう。
そんなわけで、今年の目標は「これを機に」のサイト更新となのはスマート本の製作です。
前々からネームだけはきってあるはやて本の他にもかきたいものができてしまい……。
BDが出たら何百回も観て、2nd A's補完ss漫画本を作ろうとか企て始めています。今書いてみたssはその一環、BD出たら修正推敲台詞追加などをしてスマート本にしていく所存です。
リリマジ出ちゃおっかなぁ……。
夏こそ更新がんばるんばー!
「Dear My Sister Dear My memory」
そこが夢の世界なんだということは、割とすぐに気が付いた。
それでもすぐに振り切れなかったのは、たぶん、ここには、今まで何度も私が望んだ世界があったからだった。
夢にまで見た、暖かな世界。
誰一人欠けていない、家族の世界。
今日はフェイトの服を買ってあげましょう、と私に向かって穏やかに微笑む母さんも。
勉強教えて、お願い、とテーブルの下から顔を出して頼み込んでくるアリシアも。
食欲旺盛で朝ご飯を元気に食べるアルフを後ろから見守るリニスも。
本当はもう、どこにも、世界中のどこを探したっていないはずなのに。
でも今私が自分の肌で感じているものには、母さんが、リニスが、アリシアが触れてきた手のひらには、確かに、ぬくもりと呼べる温度があって。
あったからこそ、少しだけ、わからなくなってしまった。
わからなくなって、悲しくて、でも嬉しくて、ごちゃ混ぜになった気持ちの中で、泣いてしまった。
夢の中に来てどれぐらい経ったかはわからないけれど、いつの間にか、故郷であったはずの私達の家の庭に、厚みのある雲が鈍い色を抱えてやってきた。次第に雷が聞こえ始めて、雨が降り始める。私とアリシアは一緒に雨宿りをした。
私は一本の大きな木の根元に座って、掌に当たっては落ちていく滴をぼんやり眺めていく。隣に座っているアリシアも、何も喋らなかった。
この沈黙もきっと、ここにいるアリシアや私にとっては、穏やかで幸せな時間。
それでも私の心に不安が募っているのは、私が心のどこかで、これが夢であることをわかってしまっているからなのだと思う。
「ねぇ、アリシア。これは夢なんだよね?」
耐えきれず私は尋ねてしまう。たった、一言。彼女の名前を呼ぶだけの勇気ですら、とても重たい一言だった。
隣に座る彼女の顔は見なかった。見られなかった、のかもしれない。
「私、この世界でなら、フェイトのお姉ちゃんでいられるんだよ」
アリシアの声音は優しくて、思わず寄っかかってしまいそうになるものだった。だから、ああそうか、これがお姉ちゃんなのかと、いつかのなのはとの会話を想起した。
なのは。そうだ、なのはだ。お姉ちゃんってすごく優しいんだよっていうことも、誰かのために頑張ることも、友達になるのはすごく簡単なんだよっていうのも。
教えてくれたのは、ぜんぶぜんぶ、なのはだったんだ。それは今までも、そしてこれからも。
「外の世界で、家族や友達が、待ってるんだよね」
アリシアの声がそっと囁く。耳によく馴染む声だった。私は小さく頷いた。あの世界には、今の私を待っている人がいる。待っていて、くれる人がいる。
それはアルフだったり、リンディさんだったり、クロノだったり。それから、それから。
友達に、なりたいんだ。
初めて会ったときから戦って、傷つけてばかりだった私の名前を、何度も何度も呼んでくれた、あの子が。私とは正反対でどこまでも真っ白だったあの子が、待ってる。
今頃どんな顔をしているかはわからないけれど、きっと――ううん、絶対、待っていてくれている。
あの子はいつだって、まっすぐで、真っ白で。だから。
笑って迎えてくれるといいなぁ、と思った。
そんな私の想いの全てを、たぶんアリシアは、わかっていた。
ここには確かに私がずっとずっと夢見ていた幸せがある。でもこれは夢だ。夢は終わらなければならない。私には、行かなければならないところがある。ここではない、別の世界へ。私は、行かなくちゃ、いけない。
アリシアはそれを全部、わかっていた。
だって、うっすらと笑みを浮かべながら彼女が私に差し出してきたそれは、私にとっては唯一無二の、手に馴染んだ愛機であったから。
「ありがとう、お姉ちゃん。……大好き」
「私もだよ、フェイト」
バルディッシュを受け取って、私はそのままアリシアに抱きついた。流れる涙が止まらない。それは、彼女も同じだった。アリシアが私の体をぎゅっと抱きしめる。強く、確かめるように。
彼女の頭は私の目線よりも少し下にあって、それが、ここが夢であることをなにより主張してしまっているようで、ちょっと、寂しくなった。
でも、悲しくはない。だって、こうして出会うことが、お話をすることができた。
夢の中だっていうのは、わかっている。
だけど、それでも、夢の中なのだとしても、彼女は暖かかった。
「現実でも、こんな風に、いたかったなぁ……」
消えていく最後の瞬間まで、彼女の――お姉ちゃんの体温は、しっかりと私の肌に溶け込んでいた。
「いこう、バルディッシュ」
バルディッシュを起動させた私は、笑みを浮かべながら前を向いた。
ここを出たら、友達になってくれた彼女はきっと、笑顔でおかえりって言ってくれるような気がしたから。
だったら私も、笑顔でただいまって言わなきゃいけないと、思ったから。
「母さん、リニス、お姉ちゃん……会えて嬉しかった。いってきます」
バリアジャケットを身に纏う。闇夜に混ざり合っていた黒のマントはいつの間にか、私の身をすっぽり覆ってくれる白い外套になっていた。
この白色は、笑うと太陽みたいに朗らかな、私の大好きなお姉ちゃんの色。
そして、私にずっとずっと何度も手を伸ばしてくれていた、あの子の――なのはの色だ。
――――私は、守られている。
なのはの友達でいられるんだ、と認められたようで。
お姉ちゃんが、私がついてるよ、って言ってくれているようで。
大丈夫だよ、フェイトなら。そんな声が、すぐ耳元で、聴こえた気がした。
だから。
「私が今、いるべき場所へ」
私は、君のもとへ戦いに行ける。今度こそ、君を助ける。
私は世界でいちばんすてきなお姉ちゃんに背中を押された妹で。
君は私の、いちばんのともだちだから。
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